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疲労

日本クエン酸サイクル研究会 副会長 中西 透

なぜクエン酸飲料の味がその日の体調によってすっぱくなったり甘くなったりするのか。これは同じご飯がその日の体調によって美味しく感じたり、まずく感じたりするのとほぼ共通の現象と考えられます。

体調とは疲労の程度のことです。疲労は脳神経系で感じるものです。疲労には急性疲労と慢性疲労があります。

急性的な疲労は活性酸素によって引き起こされます。私たちは呼吸によって炭素化合物を燃やし、酸素を二酸化炭素に変えて、生命活動に必要なエネルギーを得ています。この過程では活性酸素が発生しているのです。通常程度であれば、そして若い人であれば、また元気な人であれば、自身が持っている還元力が強いので、活性酸素を消去してしまいます。

クエン酸サイクル飲料のように、ビタミンB群やビタミンCを十分に含んでいて、しかもクエン酸サイクルが活発に活動して、還元物質NADH2を十分に作るものを摂取すると、還元素が強くなって活性酸素がもたらす疲労抵抗性が強くなり、体調がよくなるのです。 急性の疲労も長く続くと慢性疲労症候群(CFS=Constant fatigue syndrome)となってきます。CFSは初期の段階では、感染症的な状態や体内潜伏観戦ウイルスの再活性化が起こり、神経・免疫・内分泌系が異常化して疲れを長引かせるのです。

更に最近では、CFSは上記の症状に伴ったサイトカインの異常分泌による病態的症状であると言われるようになってきました。そしてこの説を裏付ける証拠も出されています。 サイトカインとは、各種の細胞から分泌され、生体制御機構、そして細胞間相互作用に関わるタンパク質のことです。タンパク質ホルモンとサイトカインの違いは、ホルモンが臓器で作られるのに対して、サイトカインは細胞で作られ分泌しているのです。サイトカインもホルモンもタンパク質なので、設計図を持っている遺伝子があります。体液で運ばれてサイトカインは標的細胞の受容体に結合して、それぞれのサイトカインに特有の生理作用が現れるのです。

サイトカインの作用は多様です。例えば、免疫反応に対して、促進と抑制の両作用を持つものが知られています。

サイトカインの種類としては
1.インターロイキン IL-1?IL23
2.インターフェロン IFNα・INFβ・INFσ
3.コロニー形成因子 G-CSF・M-CSF・GM-CSF
4.ケモカイン    CC・CXC・CXC3
5.腫瘍壊死因子   TNF(TNFα)・LT(TNFβ)
6.形質転換増殖因子 TGFα・TGFβ1?β5

さて、疲労感は生体のホメオタシス(恒常性)の乱れを知らせる重要なアラーム信号の一つです。激しい運動、長時間の運動を行った場合の疲労感は、若い人・健康な人は栄養と一晩の睡眠で回復します。(クエン酸サイクル飲料を飲むことで回復は一層早くなる。)
CSFは何からの原因(ストレス・オーバーワーク・激しい運動・風邪など)で起こった疲労感が、半年以上続く場合を言います。もちろん2?3か月続く準CFSもあります。今まで疲労は謎でした。乳酸蓄積による疲労説は現在では否定されています。現代の科学では疲労の謎が少しずつ解明し始めています。

一時的な疲労は、活性酸素による過酸化によって起こってきます。慢性疲労は潜在ウイルスの再活性化による感染症の疲労、ストレスによって起こってくる疲労、運動性の疲労に共通に働くサイトカインを介したメカニズムがあります。
全てが同じメカニズムではないにしても、疲労を感じる脳神経の回路があって、そこに様々なモディフィケーションが起こっているのでしょう。
疲労についての科学研究はまだ初期段階にあります。しかし、これだけの考察が出来るのは、生化学・分子生物学のレベルが高くなったからでしょう。
味を感じる神経も、疲労を感じる神経も脳の中にあります。サイトカインの産生異常が疲労と関係するのです。「クエン酸サイクル飲料」の味が体調によって変わることは上記の説明によってかなりうなずけるところがあります。クエン酸サイクル飲料は人体を酸化状態から、還元状態に移行させます。飲用によって疲労が回復すると感じるのは、これが起因の一つでしょう。